サヤ取りは、FX取引における低リスク・低リターンの投資手法として知られています。
サヤ取りは、通貨ペアの価格変動に左右されにくく、長期的な利益積み上げを目指すトレーダーに適しています。
この記事では、サヤ取りの仕組み、メリット・デメリットなどを徹底解説します。
目次
FX取引のサヤ取りとは
サヤ取りとは、相関性の高い金融商品を同時に売買する投資手法です。
具体的には、価格が同じタイミングで上がったり下がったりする傾向がある金融商品を一方で買い、一方で売ることを指します。
株式市場では「日経平均とTOPIX」や「日経平均とダウ」、FX市場では「豪ドル円とNZドル円」といった組み合わせがよく知られています。
サヤ取りの利点は、相場全体が一方向に動いた場合でも、双方の利益と損失が相殺される点にあります。
レバレッジが存在するために高リスク・高リターンとされるFX取引の中で、サヤ取りは低リスクな投資方法の一つとされています。
FXにおいてサヤ取りは、主に以下の2つの方式が採用されています。
- 為替差益を活用したサヤ取り
- スワップポイントを利用したサヤ取り
為替差益を活用したサヤ取り
為替差益を活用したサヤ取りは、値動きが連動する通貨ペアを選び、為替差益から利益を獲得することを目的とします。
代表的な組み合わせは、オーストラリアドル/円とニュージーランドドル/円です。
両通貨の為替レート差が大きい時にポジションを構築し、その差が解消された時点で決済することで、確実な利益を上げられます。
FXのスワップポイントを利用したサヤ取り
スワップポイントを利用したサヤ取りは、異なるFX業者のスワップポイント(スワップ金利)の差を利用して収益を狙います。
同一通貨でも、FX業者ごとにプラス(買い)のスワップポイントとマイナス(売り)のスワップポイントは異なります。
この差額分を日々の利益として積み上げていくのがポイントです。
スワップポイントを目的としたサヤ取りの特徴は、「価格の変動に左右されることなく、スワップポイントを積み重ねることができる」点にあります。
FX取引でのサヤ取りのメリット・デメリット
サヤ取りのメリット
- 為替変動の影響を大幅に抑制できる
- リスクとリターンの予測が比較的容易
- 日々の相場チェックに費やす時間が少なくて済む
- 中長期的な着実な利益積み上げが可能
サヤ取りはローリスク・ローリターンの投資手法として、相場予測に自信がない初心者や、本業が忙しくチャート分析に時間を割けないビジネスパーソンにとって適しています。
FX取引でのサヤ取りのデメリット
- 完全にリスクがゼロになるわけではない
- 一般的なFX取引に比べ、期待リターンは低い
- 想定外の変動でロスカットされるリスクがある
- 決済時のスリッページ等で損失が発生する可能性
サヤ取りはリスクを最小限に抑えられる代わりに、高額な利益を短期間で上げるのは難しいと言えます。
そのため、サヤ取りは中長期的な資産形成を目指す投資家に適した手法と位置づけられます。
サヤ取りがしやすい海外FX業者の特徴
サヤ取りに適した海外FX業者を選ぶ際には、2つ重要なポイントがあります。
- 高金利通貨の取り扱い
- 見やすい比較チャート
高金利通貨の取り扱い
まず、高金利通貨を提供している業者を選ぶことが大切です。
特にスワップポイントを狙った戦略を取る場合、高金利通貨の存在が利益を大きく左右します。
理想的な通貨は、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドルなどです。
また、スワップポイントの変動が大きいFX業者は避けるべきです。
安定した利益を得るためには、FX業者の評判を確認し、スワップポイントの安定性が評価されているかをチェックすることが重要です。
見やすい比較チャート
比較チャートが見やすい海外FX業者は、売買のタイミングを的確に捉えるのに役立ちます。
視覚的に分かりやすいチャートを提供するFX業者を選ぶことで、迅速かつ効果的なエントリーが可能になります。
チャートが見にくいFX業者を利用すると、分析に時間がかかり、エントリーのタイミングに遅れが生じることがあります。
FX取引でサヤ取りを行う際の注意点
海外FX取引でサヤ取りを行う際には、以下のような注意点があります。
- 取引する通貨の選定
- 利益率のギャップに留意
- 証拠金の確保
- スリッページの対策
- スワップポイントの変動
- 相関関係の変動に注意
取引する通貨の選定
サヤ取りを行う際には、取引通貨と基軸通貨を揃えることが重要です。
例えば、米ドル/円とユーロ/ドルの組み合わせではなく、米ドル/円と豪ドル/円の組み合わせで行うようにしましょう。
利益率のギャップに留意
サヤ取りはリスクが低く勝率が高い反面、利益率はそれほど高くありません。
また、派手な取引ではないため、退屈に感じるかもしれません。
過度に期待しすぎず、冷静に取引を続けることが大切です。
証拠金の確保
サヤ取りでは、同時に買いと売りのポジションを持つため、通常のトレードよりも多くの証拠金が必要です。
しかし、レバレッジを利用すれば少額からでも始められます。
スリッページの対策
スリッページとは、注文した価格と実際に約定した価格がずれることです。
サヤ取りを行う際には、スリッページのズレを考慮し、なるべく広い価格差を狙うことが重要です。
スワップポイントの変動
スワップポイントは日々変動します。
エントリー後も定期的にスワップポイントの状況を確認し、利益が少なくなってきた場合は他の通貨ペアに切り替えることを検討しましょう。
スワップポイントの変動を見逃さないようにすることが大切です。
相関関係の変動に注意
経済指標の発表やニュースによって、為替相場は大きく動くことがあります。
上記に伴い、通貨ペアの相関関係が崩れる場合もあります。
相関関係が崩れると、サヤ取りは成立しなくなるため、常にファンダメンタルズの影響を念頭に置いて取引を行いましょう。
FX取引でのサヤ取りを失敗しないポイント
サヤ取りで失敗しないためのポイントをご紹介します。
- FX業者の選定
- 適切な資金管理
- 通貨ペアの特性理解
- 冷静な決済判断
FX業者の選定
スワップポイントの有利さ、スプレッド水準、スリッページリスクなどを総合的に勘案し、サヤ取りに適したFX業者を選びましょう。
適切な資金管理
レバレッジ水準は過度に高くせず、余剰資金も十分に確保しましょう。
相場の急変動に備え、ポジションを維持できる体制を整えることが重要です。
通貨ペアの特性理解
為替差益を狙う場合は、選んだ通貨ペアの連動性や乖離リスクを熟知しておく必要があります。
過去のデータを参考に、状況に応じた対処法を検討しましょう。
冷静な決済判断
FXにおけるサヤ取りは、相場予測に自信がなくても、着実に利益を積み上げられる投資手法です。
しかし、リスクがゼロになるわけではありません。
適切な資金管理と冷静な判断力が何より重要となります。
思い込みによる損失を防ぐため、決済タイミングは冷静に判断しましょう。
利益確定を焦りすぎず、リスク回避を最優先に考えることが肝心です。