アービトラージとサヤ取りは、どちらも市場の価格差を利用して利益を得る手法ですが、厳密には同じ意味ではありません。
アービトラージは、異なる市場やFX業者間での価格差を利用して、同一商品の売買を行い、利益を得るのに対し、サヤ取りは、同一市場内での異なる銘柄間の価格差を利用して利益を得る手法です。
目次
海外FXでのアービトラージとは
アービトラージは、異なる市場やFX業者間での価格差を利用して利益を得る手法です。
例えば、同じ商品がある市場では安く、別の市場では高く取引されている場合に、安い市場で買い、高い市場で売ることで、その価格差が利益となります。
アービトラージの特徴は、理論的にはリスクなしで確実に利益を得ることが可能とされる点です。
実際には、取引のタイミングや市場の流動性、手数料などが影響するため、完全にリスクがないわけではありませんが、高い確実性を持った投資戦略の一つとして広く認識されています。
海外FXでのサヤ取りとは
サヤ取りは、相関性の高い金融商品を同時に売買する投資手法で、「買い」と「売り」を同時に保有し、その2銘柄の価格差(サヤ)の伸縮から利益を狙う投資手法です。
具体的には、価格が同じタイミングで上がったり下がったりする傾向がある金融商品を一方で買い、一方で売ることを指します。
サヤ取りには主に2つの方法があります。
1つ目は「スワップポイントを利用したサヤ取り」で、異なるFX業者のスワップポイント(スワップ金利)の差を利用して収益を狙います。
2つ目は「為替差益を活用したサヤ取り」は、値動きが連動する通貨ペアを選び、為替差益から利益を獲得することを目的とします。
海外FXでのアービトラージとサヤ取りの違い
アービトラージとサヤ取りは似ている部分もありますが、利用する価格差の種類やリスクの取り方に違いがあります。
アービトラージとサヤ取りの共通点
アービトラージとサヤ取りのどちらも価格差を利用して利益を得る手法であり、リスクを低減することが可能です。
また、両者ともに「裁定取引」や「スプレッド取引」とも呼ばれます。
アービトラージとサヤ取りの違い
アービトラージは市場の歪みを利用するのに対し、サヤ取りは相関性の高い銘柄の価格差を利用します。
また、アービトラージは理論上リスクなしで利益を得ることが可能ですが、サヤ取りは相場全体のリスクを軽減する手法です。
取引対象の違い
アービトラージは、異なる市場や業者間での価格差を利用する手法です。
これに対して、サヤ取りは同一市場内の異なる銘柄間の価格差を利用します。
リスクとリターンの違い
アービトラージは低リスクである一方、FX業者内で規制されていることが多く、利益が小さいことが一般的です。
一方で、サヤ取りはリスクヘッジが可能ですが、手数料がかかり利益が小さいです。
必要な資金の違い
アービトラージにはまとまった資金が必要ですが、サヤ取りは比較的少ない資金で開始できます。
海外FXでのアービトラージとサヤ取りの特徴を比較
アービトラージの特徴
- 市場の歪みを利用:異なる市場や同一市場内での価格差を利用
- リスクが低い:理論上はリスクなしで利益を得ることが可能
- 多様な市場で実施:株式市場、外国為替市場、コモディティ市場など
- テクノロジーの影響:近年ではテクノロジーの向上により、価格差がすぐに解消されるケースが多く、アービトラージの機会は減少傾向
サヤ取りの特徴
- 相関性の高い銘柄を利用:価格推移の連動性が高い(相関性の高い)2つの銘柄を「買い」と「売り」で組み合わる
- リスク軽減:相場全体が一方向に推移した場合でも、2銘柄の損益が相殺されるため、金融市場全体の価格変動リスクを軽減しながら運用が可能
- 利ザヤが小さい:マーケットの方向性に賭けて大きくポジションを取るトレードに比べると、比較的低リスクで取引ができる一方、利ザヤは小さくなります。