高いレバレッジで大きな利益を目指すことができる海外FXに興味を持っている方は多く見受けられます。
しかし、海外FXを利用するにあたり、「どれくらい税金がかかるのか」「確定申告はどのように進めれば良いのか」といった疑問を抱えている方もいるかもしれません。
この記事では、海外FXでの税金や、確定申告のについてなど、専業トレーダーが知っておくべき情報を詳しく解説します。
目次
海外FXでも日本で税金が発生する
海外FXでも確定申告は必要
海外FXによる収益にも、日本国内で税金が課されるのは避けられない現実です。
「税金を逃れる方法はないのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、合法的な抜け道は存在しません。
投資から得た収益は、居住国の税法に基づいて納税する必要があり、海外FXでの利益も例外ではないのです。
海外FXの収益は、所得税や住民税の計算に入れる必要があります。
これらの税金は確定申告を通して納めるもので、一定の控除や経費を差し引くことが可能ですので、最大限に活用しましょう。
海外の金融機関を使用しているからといって、収益を申告しないことは脱税行為と見なされます。
外見上は発覚しにくいと思われがちですが、税務当局は金融取引の追跡能力を有しており、遅かれ早かれ発覚する可能性があります。
したがって、確実に申告することが求められます。
脱税が発覚した場合、未納税額の支払いのみならず、無申告加算税や重加算税などの追加的なペナルティが課されます。
最悪の場合、法的措置を取られることもあり得ますので、脱税のリスクを避けるためにも、正しく税金を申告しましょう。
確定申告について
確定申告と申告期間
確定申告は、1年間に得た所得(売上から必要経費を引いた後の金額)に対して発生する税金を算出し、その額を国(税務局)に報告し納付する手続きのことです。
具体的には、1月1日から12月31日までの期間に発生した所得に基づいて税金を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務局への申告と納税を行います。
確定申告を怠った場合
確定申告を行わない場合、利益があるにもかかわらず申告を怠ったことで、追徴税(本来納めるべき税額よりも多くの税金を支払う状況)に直面したり、脱税とみなされて罰則を受けるリスクがあります。
したがって、利益が発生している場合は、確定申告を怠らないようにしましょう。
海外FXで税金が発生するタイミング
投資における税金は、1月から12月までの1年間のトータル利益に基づいて計算されます。
海外FXにおいて税金が適用されるのは、年間通じての利益が12月31日に確定した時点です。
海外FXで得た利益に対しては、その都度ではなく、年末時点での総合計利益に基づき税金が計算されます。
上記の1年間の期間内で、もし損失が利益を上回れば、税金は発生しません。
つまり、年間を通じての損益が重要となり、最終的な利益がなければ税金の心配は不要です。
海外FXでの確定申告にまつわる含み益
投資においては「含み益」の概念があります。
含み益とは
保有している資産が価値を増しているものの、実際にはまだ売却していないため利益が確定していない状態を指します
含み益があるポジションについては、決済されない限り、課税の対象外です。
FX取引においては、取引によってポジションを取り、そのポジションを決済することで初めて損益が明確になります。
保有中のポジションでは、実際の利益ではなく、あくまで未確定の含み益として扱われます。
そのため、12月31日時点で含み益があっても、決済していなければ、利益として計上されない点を理解しておく必要があります。
税金が課されるのは、実際に売却を行い、利益が確定した時点のみです。
投資における税金は、実際に得た利益に基づいて計算されるため、年間を通じての収支管理が非常に重要です。
海外FXでの利益にかかる税金の金額
海外FXから得られる利益にかかる税金は、利益の金額と給与所得があるかないかによって変わります。
1.給与所得者の場合
給与所得者(サラリーマンなど)の場合、年間で給与以外から得た所得が20万円を超えた時点で確定申告が求められます。
これには海外FXからの利益も含まれ、他の副業からの収入と合わせて計算されます。
所得とは、収益から必要経費を引いた後の金額のことです。
例えば、海外FXで40万円の利益を得たが、30万円の経費がかかった場合、所得は10万円となり、このケースでは確定申告の必要はありません。
ただし、この20万円未満であれば所得税の申告が不要であっても、住民税については別途申告が必要になる場合があります。
確定申告を行った場合は、その情報が税務署から市町村へと共有されるため、住民税の再申告は不要となりますが、給与の年末調整とは無関係に処理されます。
2.非給与所得者の場合
非給与所得者(自営業、専業主婦、無職など)の場合は、年間所得が48万円以上であれば確定申告が必要です。
これは、所得税の基礎控除額が48万円であるため、48万円以下では所得は0と見なされます。
基礎控除とは、誰もが所得から差し引くことができる金額で、所得が2,400万円以下の場合は48万円、それ以上の場合は段階的に減少し、2,500万円を超えると0円になります。
年間所得が48万円未満で確定申告が不要であっても、1円でも利益がある場合には、住民税の申告を行う必要がありますので、その点は注意が必要です。
海外FXでの税率
海外FXは利益が増えるほど税金も増える
海外FX業者を利用する場合、利益は雑所得として扱われ、日本の税制下で累進課税の対象となります。
累進課税の対象とは、所得が増加するにつれて税率も高くなるということを意味し、最大で所得税45%に加えて住民税10%、合わせて55%の税率が適用される可能性があります。
税率最大55%の内訳
- 所得税:最大45%
- 住民税:10%
累進課税は、利益が大きくなるほど相対的な税負担も増大するため、特に高額の利益を得るトレーダーにとっては重要な考慮事項です。
国内FXと海外FXで損益通算はできない
海外FX業者の利用では、日本のFX業者と異なり、申告分離課税を利用することができず、損益通算や損失繰越の適用も受けられません。
したがって、海外FX業者を利用する際には、高い税率や税制上の不利益を考慮に入れ、より慎重な資産管理と税務計画が求められます。
日本のFX業者を利用した場合の固定税率20.315%と比較すると、海外FX業者の利用は税負担が大きくなる可能性があるため、投資戦略を練る上で注意が必要です。
所得金額 | 税率(総合課税+住民税10%) | 控除額 |
195万円以下 | 15% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 20% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 30% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 33% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 43% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 50% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 55% | 4,796,000円 |
FXの税金の計算方法
FX取引での税金は、取引から得た利益と経費を差し引いた額に20.315%の税率を適用して計算します。
具体的には、FXと他の先物取引からの利益を合計し、そこから取引にかかった経費を引いた後、20.315%を乗じて納税額を求めます。
計算方法
(先物取引にかかる雑所得などの損益-経費)×20.315%=FXの納税額
海外FXで課税対象となる利益
FX取引においては、為替差益とスワップポイントの損益を総合して計算し、利益が生じた場合には税金の納付が求められます。
課税対象となる利益
- スワップポイント
- 為替差益
スワップポイント
スワップポイントは、FX業者によって税務上の扱いが異なります。
一部では実際に決済した時点で課税対象となり、他の場合は発生した時点で課税されることもあります。
実際に取引を行う前に各社の規定を確認し、どのように税金が計算されるのかを理解しておくことをおすすめします。
為替差益
為替差益は、通貨の価値変動から生じる利益のことを指します。
具体的な例として、もし1ドル=100円の米ドルを購入し、時間が経過した後に1ドル=140円になったとします。
この時、購入した米ドルを売却することで、元の購入価格との差額分の40円が利益として得られます。
この利益が為替差益と呼ばれるもので、外国為替市場における取引で重要な収益源の1つです。
FX税金の種類
投資の形態には多岐にわたり、株式投資、FX、暗号通貨などがありますが、投資種類ごとに税金の計算方法や税率が異なります。
証券投資
株式や投資信託などの伝統的な証券投資では、利益に対して20.315%の税率が適用されます。
これは所得税15.315%と住民税5%を合わせたものです。
ただし、株主優待などの特定の収益は雑所得として扱われ、異なる税率が適用される場合があります。
FX・先物取引
FXや先物取引、オプション取引などの金融派生商品についても、同様に20.315%の税率が適用されます。
これらの取引は、所得税と住民税の合計で一律に課税されます。
暗号通貨(仮想通貨)
暗号通貨(仮想通貨)の場合は、税制が異なり、利益は雑所得として扱われます。
そのため、所得税率は最大45%まで上がり、住民税は一律10%が加算されます。
暗号通貨の税率は所得に応じて変動し、他の投資形態と比較して高い税負担になる可能性があります。
- 個別株や投資信託:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)※株主優待は雑所得となり、一律20.315%ではない
- FXや先物取引、オプション取引:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
- 暗号通貨(仮想通貨):雑所得。所得に応じて変動(所得税は最大45%、住民税は一律10%)
また、異なるカテゴリーの投資間で損益通算を行うことはできません。
つまり、株式投資での損失をFX取引の利益で相殺することはできないため、各投資ごとに税務計画を立てる必要があります。
脱税や申告漏れに対する追加課税
税務署はFX取引における脱税を厳しく監視しており、脱税行為はほぼ確実に発覚します。
FX業者は顧客の取引情報を税務署に報告しており、マイナンバー制度によって個人の取引情報が一元化されているため、税務署はトレーダーの利益や申告状況を容易に把握できます。
税務署は、脱税が疑われるトレーダーに対して、すぐにではなくある程度の時間を置いてから税務調査を行うことがあります。
これは、時間が経過することで追徴課税額が増加し、より多くの税金を徴収できるためです。
追徴課税には、無申告加算税、延滞税、悪質な所得隠しに対する追加税など、本来の税額に加えて重いペナルティが課されます。
税務署員の評価は徴収した税金の額に影響されるため、彼らにとっては時間をかけてでも多くの税金を徴収することが昇進につながります。
そのため、脱税をしていると疑われるトレーダーは、しばしば数年間の間「泳がされ」、その後に一斉に調査が入ることがあります。
このように、FX取引における脱税は重大なリスクを伴い、最終的には高額な追徴課税や罰金につながる可能性があります。
適切な申告と納税を行うことが、安全かつ安心な取引を維持するためには不可欠です。
ペナルティーの種類 | 追加課税 |
無申告加算税 | 本来の税額が50万円以下の場合15%、50万円超える部分は20%の税が課される。 |
延滞税 | 納期限から2ヵ月までは年7.3%、それ以降は年14.6%の税が課される。 |
悪質な所得隠し | 申告漏れが「悪質」だと判断された場合、別途40%の税が課される。 |
海外FXで得た利益の確定申告を行う時期と必要書類
FX取引から利益を得た場合、その利益に対しては確定申告が必要です。
通常、確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までですが、特別な事情や変更がある場合は異なることがあります。
この期間内に、適切な申告書を税務署に提出することが求められます。
申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税が課されるリスクがあります。
また、申告内容に不備がある場合や故意に税額を少なく申告した場合には、さらなる追加税金が課される可能性があります。
土曜日や特定の日が期限の場合、翌開庁日まで提出期限が延長されることもありますので、その年のカレンダーに注意してください。
必要書類
- 確定申告書
- 年間取引報告書(年間損益報告書)
- 源泉徴収票(給与所得者のみ)
- マイナンバー確認書類
- 印鑑
- 本人確認書類
海外FXでも確定申告は必要
海外の取引口座を利用している場合でも、年間で20万円以上の利益があった際には確定申告を行う義務があります。
海外FXの利益は国内口座と異なり、総合課税の対象となり、利益の額に応じて税率が変わる累進課税が適用されます。
これは、利益が多ければ多いほど高い税率が適用されることを意味し、利益額によって税負担が大きく変わる可能性があるため、利益の計算と申告には注意が必要です。