キプロスは、ヨーロッパの小さな島国でありながら、多くの海外FX会社が拠点を構える場所として知られています。
その理由として、キプロスの規制環境や税制、地理的な位置などが挙げられます。
この記事では、キプロスのFX会社の現状や特徴について詳しく解説します。
目次
キプロスについて
キプロスの位置
キプロスは地中海に浮かぶ、四国の半分ほどの大きさしかない小さな島国です。場所としてはトルコの南、シリアやレバノンの西にあります。
ヨーロッパと中東を結ぶ交差点としての役割を果たしており、古代から多くの文化や民族が交錯する場所として知られています。
また、キプロスは、美しい海岸線や古代の遺跡、豊かな自然など、多くの観光資源も持っています。
夏には人口の3倍ほどの観光客がキプロスのビーチリゾートを訪れる一方、冬には山岳地帯でのハイキングやスキーを楽しむこともできる国です。
キプロスの歴史
元々はイギリスの植民地だったのですが、1960年にイギリスから独立し、「キプロス共和国」として承認されました。その後、1970年代にギリシャ系住民(キプロスの80%を占める)とトルコ系住民(残りの20%)とで武力衝突が続き、そこにトルコが介入し「北キプロス・トルコ共和国」として一方的な独立を宣言した為、現在はギリシャ系の多い南キプロスとトルコ系の多い北キプロスに分断しています。
北キプロスは、世界で唯一トルコだけが国家として承認しており、一般的には国として認められていませんが南北で使われる言語(ギリシャ語、トルコ語)や通貨(トルコリラ、ユーロ)だけでなく、宗教などの文化習慣もグリーンラインを境に異なり、事実上は別の国として存在しています。
キプロスとFXの関連性
キプロスは、欧州や中東、アフリカとの絶好の位置を活かして、タックスヘイブンとしての地位を目指しました。
ソ連の崩壊を経て、ロシアの富裕層の間でキプロスにペーパー会社を設立し、税金を節約する動きやマネー・ロンダリングがブームとなりました。
そして、2004年にはキプロスが欧州連合(EU)に正式に加盟。この時、キプロスの銀行業界に潜む問題点を解消するチャンスがあったのですが、実際の改革はなかなか進展せず、現在もその影響を受けています。
キプロスの税制
キプロスは、低い法人税率を持つことでも知られており、多くの国際企業がビジネスの拠点として選んでいます。
特にFX会社にとっては、税制の優遇が大きな魅力となっており、ビジネスの拡大を後押ししています。
キプロスの規制環境
キプロスは、ヨーロッパ連合(EU)の一員として、MiFID(金融商品市場指令)に準拠した規制環境を持っています。
そのため、キプロスでライセンスを取得したFX会社は、他のEU諸国での業務展開が容易になります。
また、キプロス証券取引委員会(CySEC)による厳格な監督が行われており、投資家の信頼を得る要因となっています。
キプロスにFX会社が多い地理的な理由
キプロスはヨーロッパ、中東、アフリカの交差点に位置しており、これにより多様な市場へのアクセスが容易になっています。
地理的な利点は、FX会社が多様な顧客層をターゲットにする上で大きな強みとなっています。
キプロスに存在する海外FX会社
キプロスには100社以上のFX会社が存在しており、この数字は年々増加傾向にあります。
リマソールについて
キプロスの中でもリマソールという都市は、キプロスの経済やビジネスの中心地であり、多くの国際企業がオフィスを構えています。
その中でも、FX会社の存在感は非常に大きく、リマソールを訪れると、その活気を実感できます。
キプロスの主要の海外FX業者
有名なFX会社としては、Exness、XM Trading、HotForexやIronFXなどが挙げられます。
他にも、FXGTの運営会社であるGTグループの本社もキプロスにあります。
また、FX会社とは異なりますが、FX取引のプラットフォームであるMT4・MT5を提供するMetaQuotes(メタクォーツ)社もあります。
上記は、世界中のトレーダーから最も利用されており、Finance Magnates Intelligenceによると2022年第2四半期末までに取引プラットフォーム市場における総市場シェアの83.8%に達しているとのことです。
キプロスの主要な業者
- Exness
- XM Trading
- FXGT
- HotForex(HFM)
- IronFX
- BD swiss
- FX Pro
- Naga
- FBS markets
- etoro
- MetaQuotes
- MiltonMarkets
番外編
- MetaQuotes
MetaQuotes
MT4やMT5といった取引プラットフォームを提供する会社でトレーダーにとって欠かせない存在と言われています。MT4やMT5の魅力としては直感的なインターフェースで初心者から経験者まで簡単に使いこなせることです。また、fxトレーダーが独自のEAを使える他、多種多様なインジケーター(分析ツール)を豊富に使えるカスタマイズ性の高さも魅力のひとつです。
Exness
ExnessはFinance Magnatesの四半期インテリジェンスレポートによれば、最大のマルチアセットブローカーであり、月間取引量が3.8兆ドル、アクティブクライアントが50万人を超えています。
Exnessは自らをフィンテック企業として位置づけており、その競争力の源泉は技術です。具体的には、ブローカーの複雑な自動手続き、機械学習、データサイエンスを含む先進的な金融製品を開発しており、すべてのクライアントとパートナーにとっての摩擦のない取引体験を促進することを目指しています。また、キプロスをテクノロジーハブとしての未来を推進することを目的とした非営利団体であるTech Islandの創設メンバーの一つでもあります。
XM Trading
XM Tradingは、TradingPointが運営している世界的なFX取引サービス業者で、日本でも初めて海外FXを始める人の多くが最初にXMを利用すると言われるほど人気が高い大手企業です。
2009年に設立され2023年現在で運営歴は14年目と長い運営歴があり、出金拒否や大きなトラブルがなく、非常に信頼性の高い業者です。
全注文の99.35%が1秒以内に執行し、注文執行率100%を保証し、約定拒否が発生しずらいNDD方式を採用により、取引の透明性と信頼性が高い特徴があります。
また、XM Tradingでは取引をする度、現金化可能なポイントが貯まる特典があり、少額から取引ができ、無料セミナーや日本語サポートも充実しているので、初心者の方でも安心して取引を開始できます。
FXGT
FXGTは2019年にサービスを開始し、豪華ボーナスキャンペーンの開催と最大1,000倍に加え、FX以外にも150種類以上の仮想通貨の両方を取り扱う日本人にもとても人気の高い海外FX業者です。
中でも出金スピードに関しては、「早い」ととても評判が良く、頻度に開催される豪華なボーナスキャンペーンに対しても定評があります。
HotForex
世界中での高い評価を持つブローカーで多様な取引ツールや教育コンテンツ、最大1,000倍レバレッジと狭いスプレッドを提供しています。
また、取引手数料は無料で、24時間365日のカスタマーサポートが利用できます。
IronFX
IronFXも2010年設立の老舗のFX会社です。狭いスプレッドと取引手数料が無料、最大1,000倍の高いレバレッジを活用できることや、9種類の中からトレーダーのニーズに合わせて口座を選べるのが魅力です。
豪華な景品を揃えたトレード大会を定期的に開催したりと資金力豊富なプロモーションが特徴的です。さらに、固定スプレッドやフローティングスプレッドのような多種多様な口座オプションが提供され、ハイレバレッジや3種類の入金ボーナスのようなトレーダー向けの特典も充実しています。
BD swiss
BD Swissはキプロスに拠点を置くFXおよびCFDトレーディングのブローカーです。
主なメリットとして、狭いスプレッドを提供しつつ、月々の定額料金のみでコミッションが発生しない点が挙げられます。
また、1.6万人以上の登録されたFXおよびCFDトレーダーに対応しており、その信頼性は高いとされています。
特徴的な点として、MetaTraderプラットフォームスイートの提供や、キプロス、モーリシャス、セーシェルの金融ライセンス(CySec,FSC,FSA)など複数の規制当局による認可を受けていることが挙げられます。
BD Swissは安定した取引環境と信頼性を兼ね備えたブローカーとして多くのトレーダーから選ばれています。
FX Pro
FX Proは、世界的に評価されるFXブローカーで、NDDブローカーとして、6つの資産クラス:fx、株式、スポット指数、先物、スポット金属、スポットエネルギーのCFDを提供しています。キプロス以外にもイギリスとバハマにもオフィスがあり、これらは同じグループに属する別々の法人で、各管轄区域はその国の関連する規制機関によって規制されています。また、ブローカーはUAEに代表事務所を持っています。また、FX Proを運営するPro groupはFormula1やサッカークラブなどのスポンサーに1億8300万ドルを投資しています。
Naga
NAGAは2015年に設立された金融テクノロジー企業で、全世界の人々に最高の市場ツールへのアクセスを提供することを目指しています。
短期間で500,000以上のアカウントを持ち、最先端の取引ツールとユーザーエクスペリエンスを提供する社会的投資ネットワークを構築しています。特にアプリがFXトレーダーに人気のfx会社です
FBS markets
FBS Marketsは、世界150カ国以上で展開する海外FX会社です。
取引ボーナス、狭いスプレッド、低手数料がメリットで、最大3000倍のレバレッジ、MT4・MT5のプラットフォーム、そして24時間365日のサポートが特徴です。
安心して取引が可能な信頼性の高いブローカーとして知られています。
etoro
eToroは2007年にイスラエルで設立された海外FX会社で、ソーシャルトレーディング機能を持つことで知られており、他のトレーダーの取引をコピーできます。
eToroは、取引手数料が無料で、スプレッドが狭いこと、そして仮想通貨の取引が可能であることが主なメリットです。
また、世界中のトレーダーと交流できるソーシャルネットワーク機能も特徴的です。
日本とキプロスのFXブローカー
キプロスに拠点を置くFXブローカーの中で、日本での営業活動を行っているブローカーも多数存在します。
その中でも、FX Proは日本のトレーダーに向けたサービスやキャンペーンを頻繁に行っており、日本市場での存在感を強めています。
キプロスショックとは
キプロスショックの背景と影響
「キプロスショック」とは、2013年にキプロスで発生した金融危機を示す言葉で、この危機はFX市場にも大きな影響を及ぼしました。
キプロスの銀行が経営破綻の危機に瀕し、預金封鎖が行われるなどの出来事が起こりました。
この事件は、キプロスに拠点を持つFX会社に対する信頼を一時的に揺るがせる結果となりました。
背景
キプロスの銀行は、ギリシャの国債を大量に保有していたため、ギリシャの経済危機が直接的な原因となりました。
ギリシャの国債の価値が大幅に低下すると、キプロスの銀行の資産も大きく減少し、これが金融危機の引き金となりました。
危機の発生
2013年初頭、キプロスの銀行が経営破綻の危機に瀕しました。
これを受けて、EUと国際通貨基金(IMF)はキプロスに救済策を提案。
しかし、その条件として、一定額以上の預金に対する特別税の導入が求められました。
預金封鎖
救済策の発表後、預金者の間でパニックが発生し、多くの人々が銀行から資金を引き出そうとしました。
これを防ぐため、キプロス政府は一時的に銀行の営業を停止し、預金封鎖を行いました。
FX市場への影響
キプロスショックは、FX市場にも大きな影響を及ぼしました。
キプロスに拠点を持つ多くのFX会社が顧客の資金の安全性を確保するための対応を迫られました。
また、ユーロ圏全体の経済や金融の安定性に対する懸念が高まり、ユーロの為替レートにも影響を及ぼしました。
その後の対応
キプロス政府は、EUとIMFの支援を受けて金融システムの再建を進めました。
預金封鎖は段階的に解除され、経済は徐々に回復の兆しを見せ始めました。
キプロスショックは、金融市場の脆弱性や国際的な連鎖反応のリスクを改めて浮き彫りにした出来事として、多くの投資家や経済関係者にとって大きな教訓となりました。
まとめ
キプロスは、その規制環境や地理的な位置から、多くのFX業者が拠点を構える場所として注目されています。
今後もキプロスのFX会社は、世界中のトレーダーからの信頼を得るためのサービス向上を続けることが期待されます。