FX取引における金融ライセンスの特徴|主要国の金融ライセンスの特徴や重要性について解説

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FX取引における金融ライセンスの特徴|主要国の金融ライセンスの特徴や重要性について解説

FX取引における金融ライセンスは、投資家の安全と利益を保護する上で非常に重要です。

金融ライセンスは、ブローカーが一定の規制や基準を満たしていることを証明するものであり、これによって投資家はFX業者が信頼できるかどうかを判断できます。

この記事では、各国の金融ライセンスの特徴やFX取引と金融ライセンスの重要性について解説します。

金融ライセンスとは

金融ライセンスは、公的な金融監督機関から与えられる金融商品取引業の運営に関する許可や認可、または登録を指します。

金融監督機関は国家によって設立され、金融市場の安定性を確保することを目的としています。

金融ライセンスにはさまざまな種類があり、機関によって設定される基準は異なるため、取得が難しい厳格なライセンスから、より緩和された条件で取得しやすいライセンスまで存在します。

金融ライセンスは、FX業者の安全性を測る重要な指標とされています​。

投資家は、ブローカーがどの監督機関の下で運営されているか把握しておくことが重要です。

主要国の金融ライセンスと種類

金融市場における安全性と信頼性を保証するために、各国は独自の金融監督機関を設置し、金融ライセンスを発行しています。

各国の金融監督機関には異なる特徴があり、ライセンス取得の難易度もさまざまです。

以下の表は、各国の主要な金融ライセンスとその取得難易度を示しています。

金融ライセンスの名称和名発行元の国取得難易度
FCA英国金融行動監視機構イギリス(UK)
JFSA日本金融庁日本
CySECキプロス証券取引委員会キプロス共和国
ASICオーストラリア証券投資委員会オーストラリア連邦
DFSAドバイ金融サービス機構アラブ首長国連邦
CIMAケイマン諸島金融庁ケイマン諸島
FSCA南アフリカ金融サービス委員会南アフリカ共和国
SCBバハマ証券取引委員会バハマ
IFSCベリーズ国際金融サービス委員会ベリーズ
BVIFSC英国領ヴァージン諸島金融サービス委員会イギリス領バージン諸島
FSCモーリシャス金融サービス委員会モーリシャス共和国
VFSCバヌアツ金融サービス委員会バヌアツ共和国
FSAセーシェル金融庁セーシェル共和国
SVGFSAセントビンセント・グレナディーン諸島金融サービス庁セントビンセント・グレナディーン諸島

取得難易度が高い金融ライセンス

  • 英国金融行動監視機構(FCA)
  • 日本金融庁(JFSA)
  • キプロス証券取引委員会(CySEC)
  • オーストラリア証券投資委員会(ASIC)

上記の金融ライセンスは、その国々が金融商品取引において厳格な規制と高い安全基準を持っていることを示しています。

英国金融行動監視機構(FCA)を取得している海外FX業者

キプロス証券取引委員会(CySEC)を取得している海外FX業者

  • XM Trading
  • Exness
  • HFM(Hotforex)
  • FXGT
  • iFOREX
  • Traders Trust
  • easyMarkets

取得難易度が中間の金融ライセンス

  • ケイマン諸島金融庁(CIMA)
  • 南アフリカ金融サービス委員会(FSCA)
  • ドバイ金融サービス機構(DFSA)

上記の金融ライセンスは、取得難易度が中間とされています。

これらの機関は、厳格な規制と緩和された規制のバランスを取りながら、金融市場の安定と透明性を確保しています。

FX業者にとってはアクセスしやすい一方で、一定のレベルの規制と監督を保証することを意味します。

取得難易度が中間のライセンスは、安全性と柔軟性の良いバランスを提供し、多様な投資環境を生み出しています。

取得難易度が低い金融ライセンス

  • バハマ証券取引委員会(SCB)
  • ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)
  • 英国領ヴァージン諸島金融サービス委員会(BVIFSC)
  • モーリシャス金融サービス委員会(FSC)
  • バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)
  • セーシェル金融庁(FSA)
  • セントビンセント・グレナディーン諸島金融サービス庁(SVGFSA)

上記の金融ライセンスは取得難易度が低いとされ、これらの地域が比較的緩やかな規制環境を持っていることを示唆しています。

日本金融庁(JFSA)の金融ライセンスの特徴

日本金融庁(JFSA)は、英国のFCAを模範として世界的に認められた厳格な金融ライセンスを発行しています。

ライセンス取得するためには、下記のさまざまな条件を満たす必要があります。

  • 最低限の資本金として5,000万円が必要
  • 5,000万円以上の純資産が求められる
  • 自己資本比率は120%を超える必要がある
  • 国内に一つ以上の営業所を設置すること
  • 海外に本拠を置く業者は、日本国内に代表者を配置することが必須

また、金融先物取引業協会(FFAJ)では、以下のことを規制しています。

  • 投資家資金の信託保全の義務
  • マーケットリスクから保護するロスカットルールの設定
  • 個人口座に25倍のレバレッジ制限
  • 法人口座レバレッジはブローカー自身の計算か外部委託、または金融先物取引業協会の数値に基づく

JFSAライセンスの主な特徴として、ブローカーに対して完全な信託保全の実施が義務付けられています。

万が一、ブローカーが倒産する事態が発生した際に、顧客の口座内の資金と未決済の利益が完全に返還されるという、世界的にも非常に充実した保護措置を意味します。

レバレッジも25倍までと規制されているので、日本金融庁に登録しない、海外FX業者も存在します。

海外の金融監督機関における金融ライセンス特徴

英国金融行動監視機構(FCA)

特徴

  • ボーナスの提供は禁止
  • 最大8.5万ポンド(約1,300万円)の顧客資金を補償
  • FX取引経験が新規の場合はレバレッジ最大25倍、1年以上の経験がある顧客はレバレッジ最大50倍

英国金融行動監視機構(FCA)は、世界中で最も審査が厳格であると評価されています。

さらに、顧客サポートの質や顧客資金の管理方法も厳しくチェックされます。

FCAの認可を受けると、FX業者は顧客保護のための補償機関に加入が義務付けられ、万が一FX業者が経営破綻した際は、最大8.5万ポンド顧客資金を補償します。

また、レバレッジは初心者と経験者で異なる制限が設けられ、ボーナスの提供も禁止されています。

キプロス証券取引委員会(CySEC)

特徴

  • ゼロカットシステムの義務づけ
  • 最大2万ユーロ(約280万円)の顧客資金を補償
  • レバレッジ最大25倍、申請を行うと最大500倍
  • ボーナスの提供は禁止
  • 出金申請の翌日には出金手続きを完了
  • 分別管理の義務づけ

キプロス共和国はFXブローカーの本社が多数存在する、世界の主要なFX市場の一つです。

EU加盟以降、キプロスはMiFiDに基づいて規制を強化し、世界でも特に厳しい審査基準を導入しました。

キプロス証券取引委員会(CySEC)は、ゼロカットシステムを必須とし、投資家のリスクを大幅に軽減しています。

CySEC認可ブローカーは、投資家補償基金(ICF)に加入することが求められ、ブローカーが倒産した場合には最大2万ユーロの補償が提供されます。

さらに、最大50倍(特定条件下では500倍)のレバレッジ制限やボーナス提供の禁止、出金申請の翌日には出金手続きを完了することや、顧客資産の分割管理が義務付けられています。

ケイマン諸島金融庁(CIMA)

ケイマン諸島は、イギリス領であることから、イギリスの法体系に似た規制を多く採用しています。

また、ケイマン諸島での事業に対する法人税が非課税であるため、多くの金融企業がここを拠点としており、世界的な金融ハブとしての地位を確立しています。

CIMAライセンスの取得条件には、下記の条件を満たす必要があります。

  • 毎月の取引の明細を提出
  • 決算報告書の提出
  • 資金管理状況に関する報告
  • コンプライアンスに関する証明書の提出
  • 年に一度の外部機関による監査

上記の条件は、オフショアライセンスの中でも特に厳格であり、高い信頼性を誇るライセンスとされています。

バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)

特徴

  • ライセンスを3つのレベルに区分
  • 各レベルによって提供できるサービスが異なる
  • 取締役は最低5年間の証券取引の経験が必要
  • 経営者または取締役は1年のうち少なくとも6ヵ月をバヌアツに滞在が必須
  • 適切なソフトウェアシステムを備えた不動産を所有
  • 金融機関の監査を行う監査法人は、VFSCからの事前承認が必要。
  • 専門職業賠償責任保険への加入が必須

バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)はかつて取得しやすいオフショアライセンスとして知られていましたが、2019年3月以降、規制を強化しました。

新しい規制では、ライセンスを3つのレベルに分け、各レベルごとに異なるサービスが提供されます。

また、取締役には5年以上の証券取引の経験が求められ、経営者や取締役は年間6ヵ月以上バヌアツに滞在する必要があります。

さらに、適切なソフトウェアシステムを備えた不動産の保有、監査法人による監査の事前承認、専門職業賠償責任保険への加入が義務付けられています。

資金力が不足しているFX業者では、高額な費用が伴う専門職業賠償責任保険への加入が困難であり、結果としてライセンスの取得を諦める状況に追い込まれています。

VFSCによる規制の厳格化は将来的にも続くことが予想されており、金融機関の中でも、特に安全性の強化に力を入れています。

英国領ヴァージン諸島金融サービス委員会(BVIFSC)

英国領ヴァージン諸島金融サービス委員会(BVIFSC)は、英国の海外領土であるヴァージン諸島の金融業務を監督する機関です。

この委員会は、タックスヘイブンとして知られるヴァージン諸島の金融サービス業界の規制と監督を担当しています。

BVIFSCのライセンスは、他の金融規制機関であるFCAやCIMAのライセンスと比べて取得が容易な傾向にあります。

ただし、この容易さは安全性の面で一定の懸念を生じさせることもあります。

例えば、BVIFSCはブローカーの資本金に関する明確な基準を設けておらず、ブローカーが破綻した場合の補償についても特に規定していません。

そのため、BVIFSCが監督する金融機関を利用する際には、上記の点を考慮する必要があります。

ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)

特徴

  • 最低50万米ドル(約7,000万円)の資本金が必要

ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)は、ベリーズ共和国における金融サービス業の規制を行う主要な機関です。

IFSCのライセンスを取得するための要件の一つとして、最低50万米ドル(約7,000万円)の資本金が必要とされています。

さらに、ベリーズ国内に法人を設立する必要がないため、多くのペーパーカンパニーがこのライセンスを取得している状況があります。

セーシェル金融庁(FSA)

セーシェル金融庁(FSA)は、金融サービス業界における顧客資産の分割管理を義務付けていますが、これは金融業界における基本的な資金管理方法とされています。

さらに、FSAの公式サイトでは、「最低資本金制度がない」「会計監査が不要」「会社秘書の必要がない」といった規制の緩和が明示されています。

そのため、ライセンスの取得が比較的容易であることが伺えますが、同時にこれらの条件はFSAのライセンスの安全性に関して疑問を呈するものともなっています。

海外FX業者が日本金融庁(JFSA)の金融ライセンスを取得しない理由

金融ライセンスを保有することは、その国の金融監督機関の規制に従うことを意味します。

一方で、日本金融庁は、無登録で金融商品取引業を行う業者に対して注意喚起や警告を行っています。

これは、日本金融庁に登録せずに国内で金融商品取引業を行う者に対するもので、他国の金融監督機関に登録しているブローカーも含まれます。

日本金融庁はこれらの業者を「無登録業者」として警告していますが、海外FXを利用する国内トレーダーに対する罰則は特に設けられていません。

まとめ

金融ライセンスは、各国の金融規制機関が発行する許可証であり、金融機関が法的な枠組みの中で運営されることを保証します。

ライセンス取得には厳格な基準が設けられており、資本金の要件、運営の透明性、顧客資産の保護など、多岐にわたる条件を満たす必要があります。

しかし、ライセンスの基準は国によって異なり、一部の地域では比較的緩い条件でライセンスが発行されることもあります。

トレーダーや投資家は、取引を行う際に、その金融機関がどの国のどの金融監督機関からライセンスを得ているかを理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。

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