NISA(少額投資非課税制度)は、一定の金額までの投資収益が非課税となる制度です。
この制度を利用することで、投資初心者でも手軽に投資を始めることができ、資産形成を目指せます。
目次
NISAとは
NISA(ニーサ)は「少額投資非課税制度」を指します。
年間で最大120万円までの投資に関して、通常ならば利益や配当に約20%の税金が課せられますが、NISA制度を利用すると、最大5年間その税金が免除される特典があります。
NISAを利用するためには、通常の証券口座とは別に「NISA専用口座」の開設が求められます。
NISA専用口座は一度開設すると1年間は変更ができないため、どの金融機関で口座を開くかは大変重要です。
各証券会社によって、取扱商品や手数料が異なることがあり、特定のキャンペーンで「手数料無料」や「現金プレゼント」のような特典が提供されることもあります。
NISAとつみたてNISAの特徴と違い
現在、NISAとつみたてNISAを同時に利用できません。
そのため、それぞれの特徴を理解し、どちらを選ぶか検討することが大切です。
NISA | つみたてNISA | |
年間投資額 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年 | 20年 |
投資対象 | ・株式 ・投資信託 ・ETF ・ETN ・REIT ・株式予約権付社債 | ・金融庁が選定した投資信託とETF |
払い出し制限/金融機関の変更 | 制限なし | 変更可能 |
NISAの非課税の期間は最大5年間ですが、つみたてNISAのそれは20年間と長期にわたります。
また、非課税での投資上限も異なり、NISAは年間で120万円、つみたてNISAは年間40万円と定められています。
投資できる商品も異なり、NISAでは、株式、投資信託、ETFなど、幅広い商品から選べます。
しかし、つみたてNISAは、販売手数料や運用管理費が低く、かつ金融庁から安定した運用として認定された投資信託やETFのみが対象です。
NISAの特徴
- 非課税枠:年間120万円までの投資利益や配当、分配金が非課税
- 制度の期限:2023年まで新規投資が可能
- 口座の制限:一人あたり1年に1口座のみ
- 利用資格:20歳以上の方のみがNISA口座を開設が可能
(20歳未満の方はジュニアNISA制度を利用できます) - 投資対象:国内外の株式、公募株式投信、REITなど
2024年からの新たなNISAについて
2024年には、新たなNISAが開始される見込みで、株式やETF、投資信託などをNISAの制度内で組み合わせて投資することが可能となる予定です。
2024年からの新NISA | |
年間投資額 | 360万円に拡大 |
非課税期間 | 無期限に延長 |
投資対象 | 成長投資と積立投資の併用が可能 |
つみたてNISAとIDECoの違い
IDECoとつみたてNISAは、非課税の投資制度として知られています。
IDECoとつみたてNISAは、長期的な資産増加を目指す制度ですが、IDECoは基本的に60歳まで引き出しができないため、老後の資金確保に適しています。
つみたてNISAは20年という運用期間が設けられていますが、途中での引き出しが自由なので、さまざまな目的に合わせて利用できます。
この引き出しの自由度が、2つの制度の最も大きな違いと言えるでしょう。
IDECo | つみたてNISA | |
運用商品 | 運営機関が提供する投資信託や保険、預金など | 金融庁が承認した長期投資や積み立て向けの投資信託やETFの中から、金融機関が選び出した商品 |
---|---|---|
購入方法 | 月々の積み立て、 もしくは 年1回以上でまとめて購入 | 月々の積み立てのみ |
年間運用額 (上限) | 加入資格により14.4万円~81.6万円 | 年間40万円 |
運用が可能な期間 | 積み立ては60歳まで 運用は終身 | 最長20年 |
引き出し制限 | 60歳まで解約できない | いつでも解約が可能 |
つみたてNISAがおすすめな人
- 長期間での資産増加を目指す方
- 非課税の運用を希望する方
iDeCoがおすすすめな人
- 老後の資金をしっかりと確保したい方
- 税金を節約したい方
- 非課税の運用を希望する方
IDECoの特徴として、掛金が所得控除の対象となるため、税金の節約が期待できます。
しかし、例えばサラリーマンの場合、年間の掛け金上限が14.4万円~27.6万円と限られているので、経済的な余裕がある方は、両制度を併用することを考慮すると良いでしょう。
NISAのメリット
NISAの最大の利点は、投資による利益や配当、分配金が非課税となることです。
例えば、120万円の株式を購入し、200万円で売却した場合、80万円の利益が非課税です。
これは、通常の口座では20.315%の税金がかかることを考えると、非常に大きなメリットと言えます。
- 税金の節約
- 投資初心者向け
- 多様な投資対象
税金の節約
投資利益や配当、分配金が非課税となるため、資産の増加を実感しやすくなります。
投資初心者向け
複雑な税務処理が不要なため、投資初心者でも手軽に始められます。
多様な投資対象
株式だけでなく、投資信託やREITなど、多岐にわたる投資対象が選べます。
NISAのデメリットと注意点
NISAは投資初心者にとって魅力的な制度ですが、利用する上で知っておくべき注意点があります。
- 非課税期間の終了
- 損益通算の制限
- 損失の繰り越し制限
- 代用有価証券の制限
- 年間投資上限額
- 口座の変更制限
- 未成年者の利用制限
非課税期間の終了
NISAの非課税期間は、投資した年を含む5年間です。
期間が終了すると、その後の利益は通常通り課税されます。
非課税期間の終了を忘れずに、計画的な投資を心がけましょう。
損益通算の制限
NISA口座での損失は、他の所得との損益通算ができません。
つまり、NISA口座での損失を他の投資での利益と相殺することができないため、損失の取り扱いに注意が必要です。
損失の繰り越し制限
通常の口座では損失を翌年以降に繰り越すことができますが、NISAではできません。
損失が発生した場合の対応を事前に考えることが重要です。
代用有価証券の制限
NISA口座での保有株式は信用取引の際の代用有価証券として利用できません。
信用取引をしたい場合は、通常の口座での取引を検討する必要があります。
年間投資上限額
NISAの年間投資上限額は120万円です。
この額を超える投資はNISAの非課税の対象外となるため、投資計画をしっかり立てることが求められます。
口座の変更制限
NISA口座は1年に1回しか金融機関を変更できません。
金融機関の選定には慎重になる必要があります。
未成年者の利用制限
20歳未満の方は通常のNISAを利用することができず、ジュニアNISA制度を利用する必要があります。
NISAとつみたてNISAのファンドの選び方
NISAで購入するファンドの選び方のポイントをご紹介します。
- 投資の対象先はどこに設定するか
- インデックスファンドかアクティブファンド、どちらを選ぶべきか
- 信託報酬はいくらぐらい必要になるのか
- 総収益はどのくらいを見込めるか
- 将来的に成長が期待される国は含まれているか
投資の対象先はどこに設定するか
投資信託の投資先は、4つのカテゴリーに区分され、期待されるリターンとリスクは相関関係にあります。
投資信託の種類 | 国内株式型 | 先進国株式型 | 新興国株式型 | 複合資産型(バランス型) |
---|---|---|---|---|
期待リターン・リスク | 低い | やや高い | 高い | 内容による |
参照元 | TOPIX、日経平均株価など | MSCI World Indexなど | MSCI Emerging、Markets Index FTSE、Emerging Indexなど | 複数の指数、債券、REIT、など |
ファンド数 | やや少ない | やや多い | 少ない | 多い |
投資の初心者には安定したリスク管理が可能な「国内株式型」や「複合資産型」が適しています。
国内株式型は、株式への投資を主としますが、為替の変動から影響を受けにくいため、リスクが比較的に抑えられると評価されています。
さらに、複合資産型(バランス型)は、株や債券、REITなど、多様な資産クラスに均等に投資することで、リスクを分散させる特性があります。
それに対して、先進国株式型や新興国株式型は、為替の変動や政治・経済の不安定さによる影響を受けやすく、国内株式型や複合資産型に比べてリスクが増します。
高い利益を追求するファンドも存在しますが、安定した収益を目標とするのが賢明です。
インデックスファンドかアクティブファンド、どちらを選ぶべきか
投資信託は、特定の基準として設定された指標をもとに運用されます。
「どのような目標を指標として設定するか」は、ファンドの種類により違いがあり、下記2つのカテゴリーに大別されます。
- インデックスファンド
- アクティブファンド
初めての投資の方には、インデックスファンドがおすすめです。
インデックスファンドは、基準となる指標に従って動くため、価格の変動が予測しやすく、また信託報酬も比較的低いため、取り扱いが容易です。
既に投資経験がある方でも、コストを抑えて効果的に資産を増やしたいと考える方は、インデックスファンドを中心に選択することをおすすめします。
信託報酬はいくらぐらい必要になるのか
つみたてNISAの商品は、すべて手数料無料(販売手数料がかからないもの)であるため、販売手数料について心配することはありません。
ただ、運用資産の金額に基づいて運用会社へ日々、支払われる「信託報酬」は考慮点として押さえておくべきです。
また、つみたてNISAの信託報酬の上限率は、公示に基づき次のように定められています。
株式型 | 指定インデックス投信 | アクティブ運用投信等 |
国内 | 0.5% | 1.0% |
海外 | 0.75% | 1.5% |
内外 | 0.75% | 1.5% |
資産複合型 | 指定インデックス投信 | アクティブ運用投信等 |
国内 | 0.5% | 1.0% |
海外 | 0.75% | 1.5% |
内外 | 0.75% | 1.5% |
総収益はどのくらいを見込めるか
総収益とは、投資信託への投資から得られるリターンを全体として集計したものを指します。
計算方法
分配金の累計額 - 解約時の代金 - 保有している評価額
= 総収益
手数料や分配金を考慮し、どれだけの利益が得られたかをはっきりと示すため、投資信託の分野では総収益の指標が大切にされています。
さらに、異なる期間で総収益を確認することで、特定の期間における資産の変動状況を知ることができます。
将来的に成長が期待される国は含まれているか
近年、新興国ファンドも注目されています。
新興国とは、先進国としての経済基盤はまだ確立していないものの、今後の経済成長が期待される国々を示します。
主に、中南米、東南アジア、中東、東欧などの地域の国々がこれに該当します。
例として、「たわらノーロード新興国株式」は、中国や台湾が全体の約30%を構成しており、さらにインドや香港といった経済の拡大が予想される国も含まれています。
投資を検討する際には、各国のGDPの伸び率などを参考にして、適切な銘柄を選定することが推奨されます。
NISAとつみたてNISA口座の選び方
NISAやつみたてNISAの口座を選ぶ際のポイントは、サービスの全体的な質の高さです。
低い手数料と多岐にわたる商品ラインアップを持つネット証券を選択すれば、取引での悩みは少なくなるはずです。
ポイント
- 提供される商品の種類
- 株取引ツールの利便性
- 取引にかかるコストや手数料
提供される商品の種類
各証券会社で、NISA・つみたてNISAの取り扱う商品のラインアップは異なることが多いです。
特に、投資信託の取扱数に大きな違いが見られることが一般的です。
証券会社ごとの特色
- 新規公開株(IPO)の取り扱い
- 単元未満株のサービスの有無
- 国内外のETFやJREITの提供状況
- 取り扱う日本株のバリエーション
新規公開株(IPO)の取り扱い 日本には、東京、名古屋、福岡、札幌の4つの証券取引所が存在します。
基本的にNISA口座では、これらの取引所の全ての上場銘柄を取引することが可能ですが、一部の証券会社では、特定の取引所の商品のみを取り扱っていることもあります。
さらに、単元未満株や国内・外のETF、JREITに関しては、通常の取引口座でのサービスがあっても、NISA口座での利用が制限されていることも考えられます。
また、IPOの取り扱いに関しても、証券会社によって大きな違いがあります。
NISA口座を利用してIPO投資を考えている場合、IPOの取扱数やその詳細にも目を向けることが重要です。
株取引ツールの利便性
多くの証券会社が、株取引をスムーズに行うための専用ツールを顧客に提供していますが、NISAの取引に際して、ツールがそのまま活用できるかは、証券会社により異なる場合があります。
一部の証券会社では取引時に口座の種類を指定するスタイルが採用されている一方、特定の取引ツールがNISAに対応しておらず、ウェブブラウザーを通じてのみ注文手続きが必要な場合も存在します。
取引にかかるコストや手数料
通常の取引口座とNISA口座とで、取引にかかるコストが違うことがよくあります。
ただ、単純に手数料が低い証券会社を選ぶだけでは不十分です。
NISA口座において、通常の取引口座とは異なる手数料やコストの設定がされている場合がある 「月に何回まで」といった取引回数の制限や、「購入時の手数料だけ割引」といった条件を見落とさないように注意してください。
NISA口座の取引コストがリーズナブルかを検討した上で、取扱商品の幅や、その他の制約がないかもしっかりと確かめることが大切です。
まとめ
NISAは、投資を始める上で非常に有利な制度ですが、メリットを最大限に活用し、デメリットを避けるための知識を持つことで、より賢い投資を行えます。
また、どの金融機関や投資信託を選ぶかは非常に重要です。
上記の情報を参考に、自分に合った投資方法を見つけてください。